中国3大IT起業”BAT”と日米のエコシステム比較

Share me

中国の3大インターネット企業は、Baidu(百度、バイドゥ)、Alibaba(阿里巴巴、アリババ場)、Tencent(騰訊、テンセント)、それぞれの頭文字を取って、BATと総称されます。中国市場のインターネットビジネスにおけるエコシステム(Ecosystem)形成競争は非常に熾烈で、既に世界最大のエコシステムを形成しつつあります。そこで、2015年末時点の状況をいったん整理してみることにしました。

エコシステムとは

エコシステムとは近年ビジネスやMBAの世界では一つの流行語になっている言葉で、プラットフォーム提供起業とその周辺に共存するビジネス生態系のことを指します。AppleがiPhoneを中心に、音楽、映画、アプリ、オンライン決済等の巨大なエコシステムで市場を独占して以来、中国でも似たような動きが起きています。中国ではインターネットの爆発的な普及を背景にアメリカや日本以上に巨大なエコシステムが形成されつつあります。

BAT財務データ比較

2014年度の主要な数字をざっくりまとめました。ソースはBloomberg Chinaです。(赤字下線は3社の中の最高額)

Baidu Alibaba Tencent
logo_Baidu logo_Alibaba logo_Tencent
時価総額

(2015年3月18日時点)

 711.02億ドル

(約8.5兆円)

2123.6億ドル

(約25.5兆円)

1641.95億ドル

(約19.7兆円)

売上 490.52億元

(約1兆円)

525.04億元

(約1.05兆円)

789.32億元 

(約1.6兆円)

(前年比) +53.6% +52.1% +31%
純利益  131.87億元

(約2600億円)

234.03億元

(約4700億円)

 238.16億元

(約4700億円)

利益率 26.9% 44.6% 30.2%

ということで超雑に分析すると、売上はテンセントに負けるものの、成長率と利益率のバランスのいいアリババの市場価値が最も高く評価されているようです。

BATエコシステム比較

続いて各社の主力サービス(出資した他社サービスも含む)の比較です。(赤字下線は内トップのサービス、実質ほとんど使われていないサービスは割愛。)

Baidu Alibaba Tencent
logo_Baidu logo_Alibaba logo_Tencent
メッセージ QQ、Wechat
SNS 新浪微博 [18%出資] Wechat(モーメンツ)
Eコマース タオバオ(C2C)、天猫(B2C) JD.com(京東)[15%出資]
検索  百度 捜狗 [36.5%出資]
E決済  百度钱包 支付宝  微信支付
動画・音楽  iQiyi, 百度音乐 优酷土豆 [18%出資]  騰訊視頻,QQ音乐
タクシー配車 Uber [出資] 滴滴出行(※おまけ欄参照)

中国は現状、百度は検索、アリババはEコマース、テンセントはモバイルメッセージを中心に、エコシステム形成のための買収合戦が繰り広げられる構図となっています。

アメリカと日本のエコシステム

アメリカのエコシステムはGoogleが検索、AmazonがEコマース、Facebookがモバイルメッセージをほぼ独占しており、中国の構図に似ている感じですが、中国ほど他社の領域に進出するような動きはありません。

いっぽうで日本市場はどうかと言うと、

Yahoo 楽天 Line Google Amazon その他
logo_yahoo logo_rakuten logo_line  logo_google logo_amazon
メッセージ Yahoo! Mail Viber LINE Gmail
SNS LINE(タイムライン) Google+ Facebook, Mixi
Eコマース Yahoo! Shopping 楽天市場 LINEモール Amazon
検索 Yahoo! Google
E決済 楽天Edy LINE Pay  nanaco, WAON, Suica, PayPal
動画・音楽  GYAO LINE Music Youtube Prime Music
タクシー配車 LINE TAXI  Uber

と、アメリカ起業がけっこう食い込んでおり、外資規制のある中国ほどは偏っていません。最近では、LINEがBATとほぼ同じ戦略でかなり業種を広げてきているので、今後どうなるかといった感じですね。

(おまけ)中国のタクシー配車アプリ

エコシステム形成に熾烈な競争を続けているBATですが、中には例外もあります。

中国ではタクシーが相対的に安く(感覚的には日本の三分の一)、また都市圏では数も足りていないためアメリカのUberに似たタクシー配車アプリが一気に普及しました。

乱立したTaxiアプリの中から最終的に生き残った、滴滴打車にテンセントが、快的打車にアリババが資金を提供、また百度がUberと提携して、超熾烈な広告合戦を繰り広げていたのですが、なんと2015年2月14日のバレンタインデーに滴滴打車と快的打車が合併し、滴滴快的が生まれほぼ市場を独占(シェア90%以上)しました。

広告合戦で膨大な資金を燃やしているとずっと揶揄されていたので、競争に疲れきっての合併という感じですが、独占禁止法に抵触するような・・・。2015年末時点でも中国Uberのキャンペーンや求人をたまに目にしますが、ここからの巻き返しは相当厳しいでしょう。

中国のタクシーアプリは、アメリカで流行したシェアリングエコノミー(sharing economy)の潮流の典型的なパターンで、中国ではO2O(Online to Offline)として流行中です。以前、滴滴打車の社員から直接話しを聞く機会があったので、また別の機会にまとめてみようと思います。