中国版「新ゼロトゥワン」ピーターティール特別授業(まとめ)

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日本で2015年ビジネス書大賞を獲得した書籍「Zero to One(ゼロトゥワン)」の著者Peter Thiel(ピーター・ティール)が清華大学に来て、学生向けに特別講義を行いました。

今回その全6回の講義に全て参加することができたので、一部の内容を紹介したいと思います。

(注)ところどころ意訳や主観がまざっています。

授業名

英語:Startup Thinking

中国語:创办新企业 中美新观察(新企業創立 中国とアメリカの新観察)

2016-03-14 13.20.52

なおピーターティールがアメリカ以外の大学で授業を受け持つのはこれが初とのことでした。

授業内容

基本的な講義の内容は、「Zero to One」の内容およびそれをアップデートしたもので、

  • 成功会社の独占分析
  • 独占の源泉
  • 競争の特性
  • 創業者とチームの役割
  • 投資するときの観点

などがトピックとして含まれます。

ただ、書籍との相違点は、アメリカ市場との比較の中で、中国における「Zero to One」の現状および今後の可能性を示したところにあります。

Peter Thielについて

まず略歴から(日本語版「Zero to One」の巻末から引用)

シリコンバレーで現在もっとも注目される起業家、投資家のひとり。1998年にPayPalを共同創業して会長兼CEOに就任し、2002年に15億ドルでeBayに売却。初期のPayPalメンバーはその後ペイパル・マフィアと呼ばれシリコンバレーで現在も絶大な影響力を持つ。情報解析サービスのバランティアを共同創業したほか、ヘッジファンドのクラリアム・キャピタル・マネジメントと、ベンチャーファンドのファウンダーズ・ファンドを設立。Facebook初の外部投資家となったほか、航空宇宙、人工知能、先進コンピュータ、エネルギー、健康、インターネットといった分野で革新的なテクノロジーを持つスタートアップに投資している。

映画「ソーシャルネットワーク」でも、マーク・ザッカーバーグに初めて投資する外部投資家として登場しています。

なお、清華大学はPayPalマフィア関連の起業家とのコネクションが強く、Peter Thiel以外にも、

  • Eron Musk(SpaceX、テスラ・モーターズ創業者)
  • Reid Hoffman(LinkedIn創業者)
  • Mark Zuckerberg(Facebook創業者)

など、そうそうたるアメリカ起業家が清華大学を訪れて講演をしています。

FacebookのMark Zuckerbergは中国語で講演をして中国でも大きな話題になりました(参考)。

Zero to Oneについて

スタンフォード大学の学生向けに行われた「起業論」をベースに作られた、世界中でベストセラーになった書籍です。

日本では「ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか」と邦訳され、2015年度のビジネス書大賞を受賞。

中国でもビジネス書ぶっちぎりのベストセラーとなっています。なお、中国の発行部数は、中国を除く全世界の発行部数合計よりも多いそうです。

2016-03-21 21.10.47

(本人からサインももらうこともできました)

序文

もしかすると今世紀、世界で最も重要な大学かもしれない清華大学で講義できることを光栄に思います。この授業を始めるにあたっての最初の質問は「Zero to One」で書いた内容が、中国ではどのように異なり、またどのように同じなのかを考えることです。中国での「Zero to One」の売上が、中国を除く全世界の売上合計を上回っていることを考えると、今回、中国の技術の未来、スタートアップの未来を考えることは非常に刺激的であるといえます。

起業論を教えるにあたり難しいのは、成功の方程式のようなものがないことです。誰かが新しい科学や技術を発見するのは、常に1回きりで、それをシステム化することはできないということが、「Zero to One」という名前に込めた思いでもあります。「Zero to One」を考えるときは、私はいつも、「0から1」と「1からN」を対比しますが、それは、テクノロジーとグローバル化の対比でもあります。グローバル化とは、既存のものをコピーすること、例えば1つのタイプライターを100個に増やすようなものです。一方でテクノロジーは、タイプライターから新たなワープロのような新しい価値を生み出すことを意味します。

既存のものをコピーすることのほうが新しいことを創りだすよりも遥かに簡単です。中国では多くの人が既存のものをコピーしていますが、新しいものを創りだすことは誰にもできることではありません。ここで、ひとつの歴史の例から考えてみましょう。

gdp per capita

(注:World Bankのデータベースから独自作成)

これは、日本(赤線)と中国(青線)の一人あたりGDPの比較です。

日本は1950年台(もしかしたらもっと早く、明治革命のころ)から80年台にかけて、既存の製品をコピーすることで爆発的な経済成長を成し遂げました。しかし、1990年台に入ってからは壁にぶつかって成長がとまっています。

中国も今、日本と同じ道を歩もうとしてるかもしれません。これを避けるためには、中国は今、新しい物を創りだすことを考える必要があるはずです。

目次

第1回:ゼロからイチへ(0 to 1)
市場独占の方法:中国版「新ゼロトゥワン」ピーター・ティール特別授業(第1回)
「Zero to One(ゼロトゥワン)」の著者Peter Thiel(ピーター・ティール)による、清華大学特別授業「Startup Thi...

2回目以降は需要と時間があれば紹介します。

第2回:独占はどのように機能するか(How Monopoly Works)
第3回:アンチマネジメント(Anti-Management)
第4回:運に支配される(The Tyranny of Chance)
第5回:どのように投資するか(How to Invest)
第6回:未来(Futures)

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